雄二「うちの学食にはやっぱ華やかさが足りないよなぁ」
「なんだ?またギャルの話?」
「そう、おばちゃんじゃなく若いメイドさんが配膳してくれる・・・それが漢の浪漫」
「・・・ふーん・・・浪漫ねぇ・・・?」
「・・・!なんだその顔は?漢が浪漫を語って何が悪い!」
悪くないけどアツくなりすぎだ・・・。
「あ、河野くん?」
「あ、小牧」
「お?委員長いつもかわいいねぇ!」
「・・・?」

「・・・ええっ!?」
「う~・・・もう、からかわないで~~><」
これからパンを買いに行くところかな?
「あ、小牧、席、ここ、あけとくから。いってきなよ。」
「あ、うん・・・」
「なぁなぁ・・・」
「ん?」
「さっきのメイドさんの話なんだけど」
「またかよ」
「メイド学食ってのはな。つまりは学生がバイトでメイドさんになって給仕したり配膳してくれる夢の楽園なんだ」
「はいはい、凄いよね」
「おまえ、わかってねぇな。つまり、いいんちょとかがメイドさんになって学食にいてもおかしくない空間なんだぞ?」
「は?なんで小牧が」
(ゴゴゴゴゴ・・・)
「給仕委員創設、初代給仕委員、小牧愛佳・・・」
「・・・トリップ?」
「目を閉じて、想像してみろ・・・いいんちょがメイドさんになって・・・」
「む・・・?」
「ふりふりの服を着て・・・・・・カチューシャなんかつけちゃって・・・」
「・・・・」
「お前が学食行くなり『おかえりなさいませ~ご主人様~』って出迎えてくれるんだ!」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
・・・
「・・・見えたか?」
「・・・・」
「・・・見たんだな!理想郷(アヴァロン)を!」
まずい、思い切り赤面してしまった。
「やはりな・・・お前だけはこちら側の人間だと信じていた・・・」
雄二はことさらに満足そうだ。
しかし、小牧がメイドさんっていうのも・・・実に気恥ずかしいというか・・・
「夢を持て。持ち続けろ、それが実現への糧なのだ・・・」
ついに雄二は語りに入ってしまった。
「でも家にはおばちゃんメイドがいるんだよな?」
「だぁ~!現実に引き戻すなっ!というかアレはメイドさんじゃないっ!家政婦さんだ!」
「いいか、イギリスの偉いお坊さんがな。『メイドさんと家政婦の間には天竺への道よりも長い隔たりが』と言ったように・・・・」
長い語りに入った雄二の言葉を受け流しながら、俺の目は遠くに見える小牧の姿を見ていた。
「メイドさん・・・か・・・」
少し、いいな、と思ってしまった・・・